「え、いやなんとなく。いや、そんなに"なぜなぜ"言われても……」
若いスタッフの答えに、思わず懐かしくなりました。
会社員の頃、それなりの立場になって若い子の図面をチェックすることがありました。別に虐めたいわけでも、詰めたいわけでもなくて。なぜそうなったのか、意図を知りたかっただけなんです。設計士なら当たり前の質問、と思っていたけど——そう感じるようになったのには理由があって。
20時スタート、23時終わりの勉強会
私が入社したばかりの頃の話です。若いだけが武器で、それが武器だなんて当時はまったく理解できていなかった頃(若い頃ってそういうものですよね笑)。
定期的に支店ごとの設計勉強会がありました。今では考えられないかもしれませんが、スタート20時、終わりは23時とか。今思えばそれだけ真剣に向き合ってもらっていたんだな、と思います。
そこで、集中砲火を浴びるのが自分でした。
「お前バカだろ」
「ありえない」
「おいおいふざけんなよ」
「君が一番できてない」
今思い返してみると、その通りだったんですよね笑。
腑に落ちるんです、なぜか
ただ面白かったのが、怒られているのにいちいち腑に落ちるんですよ。
勉強会は「なぜ?」から始まるんです。
- なぜこの寸法にした?
- なぜここに配置した?
- なぜこのサイズにした?
- なぜこの品番を選んだ?
- なぜこの仕様にした?
- なぜこう表現した?
- 建築ってなんだ?
最初からスタッフをどんどん指名してくる。だから緊張感があって、ぼーっとしてられない。
そして——次に答えを示してくれるんです。そうなる理由を示してくれる。
言葉が刺さった瞬間
今でも鮮明に覚えているものがあります。
「お前、一人でやってないか?巻き込まないとダメだろ!仕事ってのは巻き込むもんなんだ。」
「お前の肩幅を今測れ。両肘を横に突き出したら? ——建築ってのはコレだ。」
「お前ここ迷ったろ?なんで迷った?知らないからだろ。知らないことは迷うんだよ。」
設計の勉強会のはずなのに、それよりも大事なことを学んでいる感覚がありました。汗が止まらない場所で、空気が変わる瞬間が何度もあった。
設計には理由がある
あれから何年も経って、自分が図面を見る立場になって、改めて思います。
設計には必ず理由があります。
なんとなく広い。なんとなくここに置いた。なんとなくこのサイズ。——それは設計じゃない。少なくとも設計士として説明できないなら、それは設計とは呼べない。
「なぜ?」に答えられること。それが設計士の仕事だとあの勉強会で学んだんだと思います。
なんとなくなんてありえない。
若い頃にそれを叩き込んでくれた先輩に、今さらながら感謝しています。
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